2013年4月4日木曜日
思い出の父の歳に自分が近づき、ふと思う事。
後々に訪れる年老いた自分。
普段はそんな事を考えられないが、ふとしたタイミングで思い出の中に出てくる父親の年齢が、自分と似たような歳であった事に気付き狼狽してしまう。
昨日も夕食の際にじいちゃん(実父)の話になり、夜釣りで海に落ちた話が出た。
記憶を辿るとその時の父の年齢は47歳、自分が19歳の時の事だった。
時期は確か10月か11月辺り、父を連れて泉佐野のコンビナートへ夜釣りへ出掛けた時の事だ。
もう過ぐ日付が変わる時間帯に実家を出て、泉佐野までは1時間30分程、途中に餌を買ったので現地到着は恐らく2時頃だったと思う。
釣りを始めるがその日は全然釣れず、やがて問題となる5時前が訪れた。
自分がドラム缶の西側に陣取り父が東側で釣っていたのだが、突然背後で『ドボンッ!!』って音が聞こえた、振り返るとそこにある筈の父の姿が無い。。。
慌てて駆け寄り水面を覗くが、父の姿は無い。
そんな筈は無いと、探すがやっぱり父の姿が見当たらない。
落ちた場所が違うのかと、半径10m程を探すがやっぱり見当たらない。
ちなみに自分は泳げないが、此処は水深も1.5m程なので場所さえ判れば飛び込めばなんとかなる。
が、その場所が判らないのではそれすら出来ない。
どん詰まりに迷い迷っていたら、父が海面から顔を出した。ほんの目の前2m程の所に。
時間にして長くても5秒も無い事だったと思う、にも関わらずどれだけ長い時間に感じた事か。。。
正直、父がもし・・・だったらという事まで頭の中でフル回転していた。
ロープ付の水汲みバケツ2個をガードレールに巻きつけて、バケツ側を海へ放り込み親父をひっぱり揚げる。
水際に付いた牡蠣殻のお蔭で、父の手は切り傷だらけ、海水をたっぷりと含んだタラスブルバの黒いジャケットは物凄く重かった。
ほっとした。
同時にありがたかった。
気持ち的にはその場にへたり込みそうになる自分が居たが、頭の中には意外な程冷静な自分が居た。
濡れ鼠の父をなんとかしたいが、当時24時間で空いているお店もあまり無く、ありったけのタオルで体を拭いて、自分の着ているジャケットを渡すが、下半身のパンツとズボンはどうしようも無く、ただタオルで拭いて水が滴るのを防ぐぐらいしか出来なかった。
時間は既に5時30分頃で空は少し明るくなって来ている、慌てて釣り道具をトランクに放り込み、父を助手席に乗せてヒーター全開。とにかく早く家に帰ろうと国道26号線を北に向かって車を走らせるが、そんな時に限って早朝にも関わらずネズミ取りに捕まる。
スピード違反は事実なので言い訳をする理由も無く、とにかく早く父を家に連れて帰りたいが、『何処から何処へ行くのだ』とか『何時もこんなスピードなのか』とひじょうにイライラする事ばかり聞いて来る。
まぁ、乗っている車が如何にも『環状をチームで走っています』風なので、今考えれば仕方が無いと思いますが、当時は父の為に少しでも早く家に帰りたかった。
ぶっきらぼうに、父がずぶ濡れで助手席に座っている事を説明したが信じて貰えず、警官を父の所へ連れて行ったが、逆に『本当に釣りをしていたのか?』と怪しまれる始末、トランクに無造作に放り込んだ釣り道具を見せて漸く信じて貰えたが、この時から決定的に警察官が嫌いになったのは言うまでも無い。
後日談だが、あの時父はあまりに釣れないのでたっぷりと餌を付けて、隣のドラム缶で釣ろうと移動していたらしいが、餌付の際にライトで手元を照らしていたので、既に夜道が苦手な状態の父は目が眩んで足元が良く見えず、海へ向かって歩いていたらしい。
『あっ、まずい』と思った時には、既に地に付いていない足に全体重を乗せていて、立て直しが出来なかったらしい。
しかも田舎の海で潜って半漁師のような生活をしていたにも関わらず、落ちた海の中で上下が判らず底を岸壁と勘違いして、水面を探していた為に浮上に時間が掛かった事も判った。
自分もそんな歳になり、昔みたいにテトラポッドの上を走る事も出来なくなったし、身長+90cm程の壁によじ登る事も出来なくなり、秘密の場所にすら行けなくなっています。
既に老眼にもなっており、昔ほど夜目も利かず、夜間においては仕掛けを作る事すら難しくなってきており、確実に父の後を追っています。
こういうのが思い出される事もあって、最近コレクションを増やす事に疑問を持ち始めたんだと思います。
自分の使うものに固執するあまり、お気に入りが限定されてしまう。
色々と試す事が億劫になってしまい、買ったけど使わないものが増えてしまう。
自分の中での変化。(人はそれを老化と呼び、自分はそれを『趣味も程々にしなきゃ』と思う)
これを嘆く事は無いんだと思う。
無理して新しいものに挑戦するのを避けるように、方向性が定まって来ているんだから、自分の気持ちに素直になれば良い。
新しいものにチャレンジ出来る気持ちが持てるならそうすれば良いし、使い慣れたものに囲まれた生活を望むなら、出来る限りそうするのも手だと思う。(実際、使い慣れたものが良いってなっても、修理等が無理なケースも出てくるだろうけれど)
家で義母や義叔母の事を見ているとつくづく思う、電気ポットが壊れて買い替える際を例にすると、メーカーが使う人の事をどれだけ考えているかよく判る。新製品を出す度にボタンの配置が変わる製品、前回は左に給湯ボタンがあったのに、今度は右に給湯ボタンが配置されている、お年寄りにとってこれは使い難い、家でも押し間違いで『お湯が出ない』の苦情を何回聞いた事か。
そう言う問題が、少なからず自分にも感じられる(笑)
1980年式VOLVO 244gl 、現時点で言えば33年前の遺物だ。
少し古いが現代の車にも乗っている2004年式VOLVO XC90 、既に10年選手と言えるべき車だがとりあえず現代の車の部類に入るだろう。
XC90に乗ったり、会社の車に乗ったりする度に違和感が生じる。逆に言うと244glに乗る度に『ほっとする』自分が居る。
恐らくこれが、自身の老朽化の始まりだろうなぁ(^^;)
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